高倍率水中マクロ撮影 クローズアップレンズ・テレコンバーター

Text by 中野誠志

 

高倍率撮影 サンプル写真 マツバスズメダイ卵
約7.5倍撮影 マツバスズメダイの卵

 

<まず理論から>

 

一般的なマクロ撮影では、マクロレンズを使用しての最短撮影で、1:1倍の等倍撮影となります。

実際の被写体の1cmがセンサー上での1cmと等しくなる状態です。

 

APS-Cサイズのセンサーでもこの点は同じなのですが、見かけ上の倍率は1.5倍(キヤノンは1.6倍)となります。

 

なので、フルサイズで撮影したものを切り取ってもAPS-Cと同じような写真を作り出せるのですが、現場で仕上がりイメージまでしっかり追い込めるところが、マクロ撮影・望遠撮影にはAPS-Cが有利ということかと思います。

 

100ミリマクロ+SMC-1サンプル
キヤノン5Dmark2 EF 100mm macro f2.8 is+ノーティカム SMC-1使用

 

さて、それで高倍率撮影についてですが、ある定義によると「2倍以上の倍率が高倍率」という意見がありました。

 

倍率2倍というのは比較的簡単に達成できます。

APS-Cサイズのカメラにしろ、フルサイズカメラにしろ、上の写真のように100ミリマクロ使用時の倍率2.3倍となる、ノーティカムの高性能クローズアップレンズSMC-1使えば簡単です。

 

クローズアップレンズをお勧めするのは、水中で着脱が自由にできるからです。必要なときだけ装着できるのは、海から上がらないと機材の交換ができないダイビングではとても便利でありがたい存在です。

 

ただし、弱点もあります。

それは撮影距離がポート先端から、被写体のごく間近の10cm以下程度までに限定されてしまうことです。それ以外ではピントが合わなくなるのです。

 

つまり、水中で着脱できるクローズアップレンズは、ハナダイやハゼといったなかなか近づけない被写体に対しての高倍率撮影には不向きの撮影機材であると言えます。

 

 

撮影倍率2.3倍 従来の「フルサイズカメラではクローズアップレンズはさっぱり使えない」という今までのクローズアップレンズの常識を打ち破る素晴らしい高画質!

<撮影倍率2.3倍 高性能クローズアップレンズ ノーティカムSMC-1>


水中撮影専用設計
レンズは広帯域マルチARコーティングを施した低分散光学ガラスを採用。鏡胴はハウジングボディと同様に高い耐久性を誇る耐腐食アルミ合金製です。

圧倒的な高画質
開放に近いF値設定でも周辺の流れがほとんど出ず、画面の隅々までシャープに描写します。

超マクロの世界を堪能
フルサイズ撮像素子のカメラにて100mmクラスのマクロレンズに使用した場合、撮影倍率は最短距離撮影時で2.3倍(面積比5.33倍)となります。

幅広いワーキングディスタンス
レンズ前およそ20〜120mmという今までにはない広いワーキングディスタンスが取れるので、被写体のサイズによって撮影距離を変えることが可能。撮影距離がほぼ固定されていた従来のクローズアップにはない構図のバリエーションを得ることができます。


テレコンバーター

 

<テレコンバーター>

 

テレコンバーター、またはエクステンダーと呼ばれるものは、カメラとレンズの間に入って焦点距離を伸ばすタイプの【追加レンズ】です。

 

水中写真で代表的なテレコンと言えばKenkoのテレプラスです。

現在はデジタルテレプラスHDという、デジタルカメラ用に高画質のテレコンにリニューアルして販売されています。

 

ニコンやキヤノンなどの各社からも自社レンズ用のテレコンが発売されていますが、これらは主に200ミリ以上の望遠レンズを対象に作られていますから、100ミリマクロぐらいまでがメインの水中写真では使用できないものがほとんどです。

購入の際にはメーカーの製品ページを見て事前にご確認下さい。

 

 

また、レンズというのは通常それ自体で完成品ですので、後付けでこうしたレンズを付け足すと、普通は画質が低下します。

(なのでほとんど低下が見られないSMC-1がいかに凄い製品なのか良くわかります)

 

私はキヤノン、シグマ、ケンコーの3社のテレコンバーターを持っていますが、2倍以上の倍率のテレコンはどうにも画質が劣化して、写真が「もやっと」くすんだように写りますのであまり好きではありません。

 

唯一シグマの70ミリマクロレンズだけは、2倍テレコンでもオートフォーカスが動き、画質の低下も控え目です。1.4倍や2倍のテレコンを入れて、一時期好んで使っていました。

 

 

<テレコンやエクステンダーの利点>

 

こうしたテレコンやエクステンダーの利点は、クローズアップレンズとは逆で、焦点距離を伸ばす性質上、【被写体から離れていても大きく撮影できる】ということです。

 

そのため、ヤシャハゼなどの敏感な魚たちを離れた位置から大きく撮影するのにも役に立ちます。気持ちよくホバリングしているところを簡単に青抜きで撮影できます。

 

 

また、テレコンの倍率はマスターレンズの焦点距離の長さに左右されないというのも利点の1つです。

 

クローズアップレンズでは、倍率はマスターレンズの焦点距離に影響されますから、例えばソニーの30ミリマクロレンズにSMC-1を装着しても倍率はほとんど上がりません。

ところが、テレコンであればどのようなレンズであってもしっかりと倍率を1.4倍や2倍にしてくれるというわけです。

 

シグマ70ミリマクロにケンコー2倍テレコンを入れて撮影した写真
シグマ70ミリマクロにケンコー2倍テレコンを入れて撮影したアカオビシマハゼの幼魚。マスターレンズの70ミリが極めてシャープなのでなかなかの高画質である。

 

<さらなる高倍率へ>

 

マニュアルフォーカスでレンズの繰り出しなどによるフォーカスギアの問題や、機材の交換が水中でできないといった制約が多い水中では、昆虫写真のように10倍を超えて撮影していくのはなかなか難しいです。

 

 

約7.5倍撮影 マヒトデ写真
約7.5倍撮影 マヒトデ

 

現在可能性として考えているのが、

APS-Cのカメラで、150ミリや180ミリのマクロレンズを使用し、ノーティカムのSMC-1クローズアップレンズを使い、ケンコーのテレコンバーター3倍(すでに生産中止品)を使えば、見かけ上の倍率は10倍ほどになり、きっと見たこともない水中写真が撮れるなぁと妄想をたくましくしております。

 

 

Text by 中野誠志

 

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