フォトコンテストへのアドバイス

Text by 中野誠志

水中撮影テクニック フォトコン編
タイワンガザミ交尾

 

ここでは水中写真のフォトコンテストについて解説します。

 

各ダイビングショップが開催する小さなフォトコンテストから、日本や世界を舞台に開催される大きなフォトコンテストまで、いろいろなグレードのコンテストが毎年、世界中で開催されています。

毎年の自信作をぜひ応募してみて下さい。

 

 

フォトコンに入賞するためには、傾向や対策などの分析はもちろんするべきです。

しかし、個人的な意見ですが、あまりにもフォトコンテストで選ばれるための写真を撮るのは良くない傾向だと思っています。

 

自然に写真を撮っていて、良い作品を応募することで結果として選ばれる。そんな感じが良いような気がします。

水中写真の上達のためや、他のダイバー仲間との交流のためにも応募してみると良いと思いますよ。


 


おもしろい水中写真 オキハギのくちびる
おもしろい水中写真も意外と好まれます(笑)

 

<水中写真のフォトコンテスト>

 

【ローカルコンテスト】では、

例えば各地で開催されているものだと、大瀬崎カレンダーフォトコンテストや串本フォトコン、柏島の大月町水中フォトコンテストなどが有名です。

 

こうしたローカルなフォトコンに応募できるのは、各エリアで撮影した作品のみに限られるのでご注意下さい。

 

 

【日本全国が対象となるので有名な水中写真のフォトコン】は、マリンダイビングが主催する「地球の海フォトコンテスト」です。

入選者はマリンダイビングフェアで写真が展示されます。

 

他にもいろいろとありますので、ダイビング雑誌などの情報コーナーを定期的に覗いてみて下さい。

 

 

<水中に限らないフォトコンテスト>

 

一般のスナップ写真や人物写真、風景写真や野鳥・昆虫などの自然写真と同じ土俵で、1つの写真のジャンルとして水中写真を受け入れるフォトコンテストです。

 

自分の写真がそういった無数の写真の中に紛れて、どのように評価されるのか腕試ししてみるのも良いでしょう。

 

ニコンが主催するニッコールフォトコンテスト、キヤノンが主催するキヤノンフォトコンテスト、富士フィルムが主催する富士フィルムフォトコンテスト、エプソンが主催するエプソンフォトグランプリ、などメーカー系のコンテストが日本トップのフォトコンでしょう。

 

ネイチャー系では日本の自然フォトコンテストや、ナショナルジオグラフィックフォトコンテストがハイレベルです。

 

 

他にもフォトコンテストは多数開催されていますので、興味のある方はカメラ雑誌の情報コーナーなどでそういった情報を探してみると良いと思います。

HPでは、登竜門というコンペティション情報サイトで、ある程度は網羅されています。

 

 

水中フォトコンテスト 自分撮り
ビゼンクラゲ 自撮り

 

<フォトコンで入賞するには>

 

一般的なフォトコンテストでは、応募された作品をテーブルや床一面に広げて、それから見応えのある作品だけをピックアップしていくのを何度か繰り返すという手法が取られます。

 

組み写真を見るフォトコンでは技術力や表現力も大きな要素となるのですが、

単写真の場合は特に、そうした無数の作品の中から勝ち上がって選ばれていくためには、ちょっとした輝き程度ではダメで、「圧倒的な」何かが必要とされます。

 

すなわち、圧倒的な感動、圧倒的な美しさ、圧倒的なおぞましさ、圧倒的な悲しさ、圧倒的なおもしろさ、といった感じです。

 

このインパクトを与えるのに非常に重要なのが、「こんな写真見たことがない!」という点です。


こうしたインパクトを与えるためには、


・超マクロや望遠圧縮、広角接写などのレンズ効果による、見たことない斬新な写真


・星景やマジックアワーなどの撮影時間帯による、見たことない斬新な写真


・生態シーンなど撮影被写体の独自性による、見たことない斬新な写真


などの観点が新しい写真を生み出すでしょう。


 

魚の影を撮影
魚の影を撮影


また、フォトコンで入賞するためには、そのフォトコンでどのような写真が評価されるのか、ぜひそのフォトコンの背景を考えてみてください。

 

例えば、ネイチャー系のフォトコンテストだったら、同じ産卵であったとしても、普通の生物の生態シーンより、生物単体で充分に魅力のある稀少な野生生物の生態シーンの方が評価されるのは当然ですよね。


例えていうと、ツバメの子育てよりもアホウドリやトキの子育ての写真の方が貴重ですし、評価されるということです。


 

一方で、ローカルフォトコンの場合は「その地域らしさ」が結構大きな要因だったりします。 

例えば前述の大瀬崎の場合はカレンダーフォトコンですので、「大瀬崎っぽさ」や「大瀬崎の魚といえば」、「大瀬崎ならでは」という要素ということです。

 

 

ほとんどのフォトコンは過去の入賞作品をHPなどにアップしてあります。

過去の作品を見て傾向と対策を練りましょう。

また、過去のそうした優れた作品を見ることで、良い写真を見る目が養われます。

 

良い写真がどのようなものかわかってくると、良い写真を撮影することが出来る打率が上がってきます。

 

一般的に、過去の入賞作品と同じもの(同じ被写体で同じシーン)は、いくらそれが素晴らしい写真であったとしても、高い評価は得られずに、ほとんどが選外となることが普通なので注意して下さい。

 

※ただし、同じ被写体やシーンであっても、新しく、素晴らしい解釈であればその限りではありません。

 

 


水中フォトコンテスト 圧倒的な感動とは マダコの孵化
マダコの孵化

 

<注意点>

1:ほとんどの国内のフォトコンでは、未発表作品であることが求められます。

 

写真の楽しみの大きな部分は、フォトグラファーと鑑賞者のやりとりや共有にあると私は思っています。

ただ、あいにくフォトコンの世界では、facebookやブログであっても、過去に発表した写真は応募不可ということもあります。

 

フォトコンによって【発表】の定義が違うので微妙なのですが、あとで残念に思わないように、応募するフォトコンの規定は必ず確認してみてください。

 

 

2:応募するプリントは傷が付かないようにビニールフィルム袋などで保護しましょう。

特にインクジェットプリントは少し撫でただけでキズが入ります。

 

 

3:輸送時の折れ曲がりを防ぐために、プリントを堅い段ボールなどで保護したり、【禁二つ折り】などの言葉を赤マジックなどで、配達員さんたちが目にするように書いておきましょう。

 

 

4:二重応募は禁じられているところがほとんどです。

 

同じ作品や非常によく似た作品を同時期に違うコンテストに応募するのはマズいので止めましょう。

もし両方に入賞した場合、両方から入賞取り消しとなります。

 

 

5:締め切りはほとんどのフォトコンで厳守ですので、なるべく余裕を持って送ると良いかと思います。

 

 

フォトコンは、きっとあなたの写真人生を豊かにしますので、ぜひチャレンジしてみて下さい!!

 

 

Text by 中野誠志

 


・水中写真 用語集

カメラや水中写真についての専門用語集はこちらをどうぞ。

 

 

・水中写真撮影の心構えはこちら

撮影に当たっての心構えやヒントはこちら。

 

 

・水中撮影テクニック

より詳細なテクニックや理論などは、こちらの水中撮影テクニックをどうぞ。