Text by 中野誠志
こちらは水中撮影における基本用語集のページです。
水中写真の世界では陸上写真の世界にプラスして、専門的な概念や要素が入ってきます。ここではそうした内容をまとめています。
手早く目的の情報をお求めの場合、ホームページ内検索をご利用下さい。
【か】
<回折現象(小絞りぼけ)>
光が細い場所を通過するときに回り込む性質で起きる現象。
絞りを絞りすぎることで、ピントが甘くなったりコントラストが落ちる。
<解像力>
被写体をどのぐらい再現できるかという分解能のこと。
レンズの解像力、カメラセンサーの解像力、(プリント用紙の解像力)のトータルが求められる。
良いカメラを使って、良いレンズを使うと、一般的に解像力は高くなるということ。
デジタルカメラではフィルム時代に比べて高い解像力を要求される。古いレンズは解像力が低いが、それを味と捉えることもできる。
<画角>
画角が広い、画角が狭い、という使い方をする。
画角が広いのは広角レンズで、画角が狭いのは望遠レンズ。
<画素数>
カメラではセンサーあたりの横×縦で求められる。
5500×3500だと約2000万画素ということ。
画素数が高ければ細やかな高精細な表現ができるが、撮像素子センサーはむやみに高画素化すると悪影響が出るし、逆に高感度撮影には弱くなる。
コンデジでは1000万画もあれば充分で、APS-Cだと2000万画素ぐらい、フルサイズカメラだと4000万画素あっても大丈夫だろうか?
<ガラスポート>
アクリルポートとは違って、少しの擦れぐらいなら傷は付かないので、ある程度長く使うことができる。
マルチコーティングなどの加工ができることガラスポートならではの利点。
価格がアクリルポートよりも高い。
【く】
<黒抜き(黒バック)>
絞りを絞り、シャッタースピードを早めて、背景に水が来るように被写体を撮影すると、ストロボの光で被写体は照らされるが、背景が水なので背景は真っ黒になります。
こういう撮り方を黒抜きと言います。
被写体のみの美しさを見せるときに適した撮影方法です。
詳細は水中撮影テクニックの項目の黒抜きのところを御覧下さい。
【け】
<ケラレ>
撮影した画像の四角などの周辺に、
カメラ機材の干渉があり黒い映り込みがある状態のこと。
カメラとレンズだけの状態では起きないが、それをハウジングに入れたり、さらにコンバージョンレンズなどを外付けする際に発生することがある。
【こ】
<広角接写>
広角レンズならではの遠近感を活かした表現のことで、いわゆるワイドマクロ。
うまく撮影できると、被写体の背後に彼らが暮らす風景を描写することができる。
被写体に接近する必要があるので、脅かさずに逃げられないようにする撮影技術が必要。
<広角レンズ>
標準レンズより広い風景を写すことができる広角側のレンズのことを言う。
私の感覚では24~28ミリぐらいから。
望遠マクロレンズでは表現できない広角接写という表現が可能。
<口径食>
開放絞りで現れる画像周辺のラグビーボールやレモンのような形状のボケのこと。
レンズ面に斜めに入ってきた光が、レンズのふちなどで遮られることから起こると言われている。
口径食が気になる場合は少し絞ってやると良いが、逆に今度はボケが角張るという面が出てくる。
<ゴースト>
撮影する画面内外にある太陽などの強い光源が影響して起こる現象。
撮影した画像にはレンズやポート内で乱反射した白などの反射像が映り込む。
水中写真では主に水面をあおって撮影するワイド撮影で起きることがある。
<コーティング>
例えばニコンレンズであればナノクリスタルコートが有名で、レンズをコーティングすることで有害なゴーストやフレアを防ぎ、解像力やカラーバランスを上げる効果がある。
水中写真ではレンズだけではなく、ポートにもマルチコーティングがあった方が良い。コーティングしてあるポートには「マルチコート採用」などと記載がある。
アクリルポートはこうした加工がガラスポートのようにはできないので、考慮する必要がある。
<高倍率撮影(高倍率マクロ)>
どの程度から高倍率と呼んで良いのか微妙なところであり、昆虫写真などの世界では10倍以上での撮影が普通に行われているが、水中にそうした装備を持ち込むのは現実的では無い。
等倍マクロのレンズをAPS-Cのカメラで利用して1.5倍、それにテレコンバーターを入れて2倍、高性能クローズアップレンズのSMC-1を使ってさらに2.3倍の、6倍撮影ぐらいは比較的やりやすい。
<小絞りぼけ(回折現象)>
光が細い場所を通過するときに回り込む性質で起きる現象。
絞りを絞りすぎることで、ピントが甘くなったりコントラストが落ちる。
<コントラスト>
画像の明暗の鮮鋭さのこと。
例えば白と黒が充分に再現されていればコントラストが高いと言い、逆であればコントラストが低い、または眠い写真であると言う。
水中写真では水の影響でコントラストが落ちやすいので、充分に接近してストロボを利かせるとコントラストが高い鮮やかな写真にすることができる。
逆にわざとコントラストが無い、水墨画のようなイメージの写真表現もおもしろい。
撮影に当たっての心構えやヒントはこちら。
より詳細なテクニックや理論などは、こちらの水中撮影テクニックをどうぞ。
Text by 中野誠志